ジャンクカメラで路地を探索した話
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中古のカメラを買った。
フィルムカメラはこれで二台目になる。
カメラ屋のジャンクコーナーの隅で、剥がれかけた『¥1500-』のシールが貼って置いてあった、小汚いカメラだった。
見た所、外装は少し清掃するだけで綺麗になるだろうし、シャッターも切れて巻き上げもできた。
ちょっといいご飯を食べたくらいの値段で、使えそうなカメラが手に入るなら、と思っていたときには既に会計を終えていた。
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そういうわけで、僕の手元には2台目のフィルムカメラがあった。一台目はPentax SPという、今年の夏頃に行ったフィンランド旅行に合わせて買ったカメラ。二台目は、その1500円のジャンクだったNikomat FTnというカメラ。
Nikomatの方の清掃・整備を終えたので、早速試し撮りがしたくなった。
せっかくニ台あるのだから、Nikomatには50mm f2を、Pentaxには35mm f3.5をつけて撮り分けようかと思ったけど、さすがに全金属製のフィルムカメラを二台も首から下げて歩きたくはなかった。
そういえば、愚弟がフィルムカメラに興味持ってたな、と思い出した。
どうせなら誰かと一緒に写真を撮りたいし、是非ともフィルムで撮ることの楽しさを知ってほしい。
連絡を入れると、いつものように二つ返事で誘いを受けてくれる。
その後は適当なやりとりをして時間と場所を決めて、当日の流れに身を任せた。
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路地に入る前に商店街を散策する。
午前11時に集まるはずだったのに、結局撮り始めたのは午後1時を過ぎてからだった。
こういう直線的なものを正面からビシッと撮るのは気持ちがいい。
猫様。
路地へ。
くたびれた看板の『生産技術研究所』の文字が寂しい。
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撮り切ったあとは、フィルムを現像に出して休憩。
出来上がったフィルムを受け取り、光に透かしてみると路地っぽい写真があまりなかったが、代わりに猫が1/5くらいの確率で写っていた。
それでも、光線漏れや巻き上げ不良もなくとりあえずはきちんと写っているようで安心した。
50年以上前に製造され、紆余曲折を経てジャンクコーナーの片隅に収められていたカメラでもこんなに写るものなんだな。もしもこのカメラに心があったら、その声を聞いてみたいと思った。
Hotaca